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Googleのソフトウェアエンジニアリングに学ぶ!開発効率と品質向上のための10の秘訣

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なぜGoogleのソフトウェアエンジニアリングが注目されるのか?

Googleのソフトウェアエンジニアリングは、その圧倒的な規模、革新性、そして生み出される製品の品質の高さから、世界中の開発者の注目を集めています。多くの企業が、Googleの開発手法を参考に、自社の開発プロセス改善や組織文化の変革に取り組んでいます。

本記事では、Googleで長年ソフトウェアエンジニアリングに携わってきたAddy Osmani氏が、自身の経験と、名著「 Software Engineering at Google (SWE本)」をはじめとする資料を基にまとめた記事、「Applied “Software Engineering at Google”」を参考に、Googleのソフトウェアエンジニアリングの手法を10のポイントに絞って解説します。

Google流ソフトウェア開発の原則 - 大規模開発を成功に導く10のポイント

1. 包括的なテスト文化 - バグを減らし、変更を容易にする「Beyoncé Rule」

Googleには、「 Beyoncé Rule (ビヨンセ・ルール) 」と呼ばれるユニークなフレーズがあります。“もし気に入ったなら、テストを書くべきだ “というこの言葉は、Googleにおけるテストの重要性を示しています。Googleでは、テストは単なるバグ発見の手段ではなく、将来的な変更を容易にし、ソフトウェアの進化を支える基盤として位置づけられています。

具体的には、以下のような取り組みが行われています。

  • 多様なテストの組み合わせ: ユニットテスト、統合テスト、エンドツーエンド(E2E)テストなど、さまざまな種類のテストを組み合わせ、ソフトウェアの品質を多角的に検証します。
  • テスト駆動開発(TDD): コードを書く前にテストを作成することで、要件定義が明確になり、より良い設計のコードを生み出すことにつながります。
  • 継続的インテグレーション(CI): コード変更のたびに自動でテストを実行するCIパイプラインを構築することで、問題の早期発見と迅速な修正を可能にします。

2. 効果的なコードレビュー - 品質向上と知識共有を実現する「レビュー文化」

Googleでは、すべてのコード変更に対し、マージ前にコードレビューが義務付けられています。 コードレビューは、品質向上だけでなく、知識共有やメンターシップの機会としても活用され、エンジニアの成長を促進する重要なプロセスとなっています。

  • 小さな変更を心がける: レビューの際は、変更を小さく保つことが重要です。これにより、レビュー担当者の負担を軽減し、より深くコードを理解することを可能にします。
  • 建設的で教育的なレビュー: Googleは、明確なコードレビューガイドラインを設け、建設的で教育的なレビューが行われるようにしています。コードレビューは、経験豊富なエンジニアから学び、自身のスキルを向上させる絶好の機会です。

3. ドキュメントはコードの一部 - 開発効率を高める「生きたドキュメント」

Googleでは、ドキュメントはコードと同じくらい重要と考えられています。ドキュメントは、後からコードを読む人(将来の自分自身を含む)にとって、コードの意図や設計を理解するための貴重な情報源となります。

  • 開発と並行してドキュメントを作成: Googleは、開発と並行してドキュメントを作成することを推奨しています。「何を(what)」だけでなく、「なぜ(why)」そうしたのか、という設計の背景や理由を説明することが重要です。
  • コードとドキュメントを一緒に管理: ドキュメントは、コードと同じリポジトリに保存し、Markdownなどの形式で記述することが推奨されています。これにより、ドキュメントが古くなることを防ぎ、常に最新の状態に保つことができます。

4. 知識共有の文化 - チーム全体の成長を加速させる「オープンなコミュニケーション」

Googleは、知識共有を積極的に推進することで、チーム全体のスキルアップと、サイロ化(知識や情報が特定部門や個人に留まり、共有されない状態)防止を図っています。

  • 設計ドキュメントとレビュー: 設計ドキュメントを作成し、レビューを行うことで、変更の意図やトレードオフを明確にし、チーム内での合意形成を促進します。
  • 非難のない事後検証(ポストモーテム): インシデント発生時には、ポストモーテムを行い、原因を分析し、再発防止策を検討します。
  • 定期的な技術トークとトレーニング: 定期的な技術トークやトレーニング開催で、チームメンバーのスキルアップを支援しています。

5. 依存関係管理 - 安全かつ効率的な開発のための「SemVer」

Googleでは、ソフトウェアの依存関係を適切に管理することが、セキュリティと開発効率の両面で重要と考えられています。

  • 依存関係の影響を考慮: 依存関係を追加する際は、セキュリティ、ライセンス、メンテナンス性など、さまざまな影響を考慮する必要があります。
  • セマンティックバージョニング(SemVer): SemVer を使い、依存関係のバージョンを明確に宣言することが推奨されています。
  • 依存関係管理ツールの活用: 依存関係管理ツールを活用することで、脆弱性のチェックやアップデートを効率的に行えます。

6. プログレッシブロールアウトと機能フラグ - リスクを最小限に抑えた「段階的リリース」

Googleは、新機能をリリースする際、一度に全ユーザーに公開せず、段階的にリリースすることで、リスクを最小限に抑えています。

  • 段階的な公開: まず、一部のユーザーにのみ新機能を公開し、パフォーマンスやエラーなどの指標を監視します。問題がなければ、徐々に公開範囲を広げていきます。
  • 機能フラグ(フィーチャートグル): 機能フラグ使用で、コードを変更することなく、特定の機能を有効化/無効化できます。これにより、問題発生時も、迅速に機能をロールバック(元の状態に戻す)ことが可能です。

7. インシデント対応 - 迅速かつ効果的な問題解決のための「明確な役割分担」

Googleは、インシデント発生時に、迅速かつ効果的に対応するための手順を定めています。

  • 明確な役割分担: インシデント発生時には、明確な役割分担を行い、担当を明確にします。
  • 詳細な記録: 何が起こったのか、どのような決定が下されたのか、どのようなアクションが取られたのか、といった詳細な記録を残します。
  • 非難のない事後検証(ポストモーテム): インシデント対応後には、ポストモーテムを行い、システムやプロセスの問題点を特定し、再発防止策を検討します。

8. 技術的負債の管理 - 長期的な視点で開発を進める「計画的な返済」

技術的負債は、開発を迅速に進めるために、意図的、あるいは結果的に、将来的な修正が必要になることを承知の上で、短期的な解決策を選択することで生じます。Googleでは、技術的負債を完全に避けることはできないものの、計画的に管理することが重要と考えられています。

  • 技術的負債の可視化: 技術的負債を可視化し、追跡することで、いつ、どの負債を返済するのか、優先順位をつけて計画的に対応できます。
  • 定期的なリファクタリング: リファクタリングを定期的に行い、コードの品質を維持することも重要です。

9. 心理的安全性の高いチーム作り - 最高のパフォーマンスを引き出す「非難のない文化」

Googleの研究( Project Aristotle )によると、チームのパフォーマンスに最も影響を与える要因は、心理的安全性です。

  • 非難のない文化の醸成: ミスを責めるのではなく、ミスから学び、改善につなげることを重視します。
  • リーダーの率先垂範: リーダーは、自身の弱みをさらけ出し、質問や意見を歓迎する姿勢を示すことで、メンバーが安心して発言できる雰囲気を作る必要があります。

10. AIの活用 - 開発の効率化と品質向上を支援する「強力なツール」

Googleは、AI(人工知能)をソフトウェア開発のさまざまな場面で活用し、開発の効率化と品質向上を実現しています。

  • AIによるコード補完: AIを活用したコード補完ツールは、開発者のコーディング作業を支援し、生産性を向上させます。
  • AIによる自動コードレビュー: AIによる自動コードレビューは、潜在的なバグやセキュリティ脆弱性を検出し、コードの品質を高めます。
  • AIによるテストケース生成、リファクタリング支援: AIは、テストケースの生成や、リファクタリングの提案など、さまざまな場面で活用されています。

ただし、Googleでは、AIはあくまでツールであり、人間の開発者を完全に置き換えるものではないと考えています。人間の判断力、創造性、専門知識は、依然として不可欠です。

まとめ - Googleのプラクティスを自社にどう活かすか?

Googleのソフトウェアエンジニアリングの手法は、他の多くの組織にとっても参考になるものです。しかし、すべてのプラクティスが、すべての組織にそのまま適用できるわけではありません。

重要なのは、Googleのプラクティスの背後にある原則を理解し、自社の状況、文化、目標に合わせて、適切なものを取り入れ、カスタマイズすることです。品質、学習、そして継続的な改善を重視したエンジニアリング文化を構築することが、長期的な成功につながります。


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参考資料: