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リモートワークの落とし穴:誰もが陥る燃え尽き症候群を防ぐGitLabの秘訣
在宅勤務になって、通勤時間のストレスから解放された!…はずなのに、なぜかいつも疲れている。家事や家族の世話と仕事の両立で、自分の時間なんてない。集中力も落ちて、ミスが増えてきた気がする…。
共感した方は危険信号です。リモートワークで陥りやすい「燃え尽き症候群」の兆候かもしれません。 柔軟性や自律性といったメリットがある一方で、リモートワークは従来のオフィス勤務とは異なるストレスや課題を生み出す可能性があります。
では、リモートワークで成果を出しつつ、心身ともに健康に働き続けるにはどうすれば良いのでしょうか? 世界最大級のフルリモート企業であるGitLabは、創業当初からリモートワーク体制を採用し、その中で従業員のメンタルヘルスを重視した独自の戦略を培ってきました。本記事では、GitLabの取り組みを参考に、リモートワークにおける燃え尽き症候群・孤立・不安への予防と対策について、具体的な方法論を学びます。
リモートワークは本当に「ストレスフリー」?
リモートワークのメリットとして、通勤時間の削減や柔軟な働き方がよく挙げられます。しかし、これらのメリットの裏側には、以下のような落とし穴が潜んでいることを忘れてはなりません。
- 孤独感と孤立感: オフィスでの何気ない会話やコミュニケーションが減ることで、孤独感や孤立感を抱きやすくなります。特に、チームワークやコミュニケーションを重視する人にとっては、大きなストレス要因となる可能性があります。
- オンオフの境界線があいまい: 仕事とプライベートの空間が一体化し、オンオフの切り替えが難しくなり、常に仕事のことを考えてしまう状況に陥りやすいです。
- 評価への不安: 上司や同僚とのコミュニケーション不足から、自分の仕事に対する評価や進捗状況が見えにくくなり、不安を感じやすくなります。
これらの要因が重なり、知らず知らずのうちにストレスを蓄積し、燃え尽き症候群へとつながってしまうのです。
リモートワークで「要注意」なメンタルヘルスのサイン
リモートワークにおいて、以下のような兆候が見られる場合は、燃え尽き症候群やメンタルヘルスの問題を抱えている可能性があります。
- 慢性的な疲労感: 十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、常に疲労感が抜けず、集中力や意欲が低下している。
- 興味・喜びの喪失: 以前は楽しめていた趣味や活動に興味がなくなり、喜びを感じにくくなっている。
- パフォーマンスの低下: 仕事のパフォーマンスが低下し、ミスが増えたり、締め切りに間に合わなくなったりする。
- 身体的な症状: 頭痛、動悸、息切れ、消化不良、不眠など、身体的な症状が現れる。
- 対人関係の変化: 家族や友人とのコミュニケーションが減り、イライラしやすくなったり、感情の起伏が激しくなったりする。
- オンラインコミュニケーションへの回避: ビデオ通話を避けたり、Slackの通知をオフにしたりするなど、オンラインコミュニケーションから距離を置くようになる。
これらの兆候に気付いた場合は、早めに上司や同僚、あるいは専門家に相談し、適切な対策を講じることが大切です。
世界最大級のリモート企業GitLabが実践する「働き方改革」
GitLabは、燃え尽き症候群を個人ではなく「組織全体」で取り組むべき課題として捉え、以下の独自の戦略を展開しています。
1. 価値観の共有と浸透:
GitLabは、「休息と休暇は、優れた仕事をするための基盤である」 という価値観を、ハンドブックや日々のコミュニケーションを通じて、組織全体に浸透させています。これは、単に休暇取得を推奨するだけでなく、「休息すること」「休暇を楽しむこと」自体が、より良い成果を生み出すための重要な仕事である という認識を共有するということです。
- 創造性と休暇: イギリスの社会心理学者グラハム・ウォーラスが提唱した「準備」「孵化」「啓発」「検証」という4段階の創造プロセスにおいて、休息と休暇は、アイデアを無意識下で熟成させる「孵化」と、新たな発想を生み出す「啓発」の段階に不可欠です。GitLabは、この理論を積極的に共有し、従業員が休息と休暇の重要性を理解できるよう努めています。
2. 透明性の高いコミュニケーション:
GitLabでは、経営陣が率先して休暇を取得し、その状況や感想をオープンに共有することで、従業員が心理的な抵抗なく休暇を取得できる環境づくりに努めています。 また、メンタルヘルスに関する情報や相談窓口などをハンドブックに明記し、誰でもアクセスできる体制を整えています。 さらに、「自分が成し遂げたこと」「休暇で得られた学び」「感謝の気持ち」などを積極的に共有することで、ポジティブな雰囲気を作り出し、従業員のモチベーションを高めています。
3. 明確な境界線の設定と相互理解:
従業員は、就業時間外や休暇中に仕事関連の連絡を受けない権利を有しており、Slackのステータスを調整して、集中したい時間帯や休暇中であることを明示することで、過度なコミュニケーションを抑制することができます。 また、マネージャーは、定期的な1on1ミーティングを通じて、チームメンバーの状況を把握し、業務負荷やメンタルヘルスに関する懸念があれば、ワークロード調整や休暇取得の提案など、個別具体的なサポートを提供します。 さらに、年間のリマインダーを設定し、翌年の休暇取得予定日をカレンダーにブロックすることで、休暇取得を促すだけでなく、他のメンバーにも休暇取得の予定を可視化し、お互いに配慮し合う環境を醸成しています。
4. 非同期コミュニケーションで「心の余裕」を確保
Microsoft Teams や Slack などのチャットツールをメインに作業することは、燃え尽き症候群への近道です。リーダーは、ミーティングを減らし、より集中してフロー状態を継続するために非同期ワークフローを導入することが可能です。GitLabではこれを実現するためにGitLabを使用しています。
5. 徹底したドキュメンテーションで「自律性」を促進
リモートワークでは、対面でのコミュニケーションが限られるため、情報共有不足や誤解が生じやすく、不安やストレスを感じやすい傾向があります。GitLabでは、徹底したドキュメンテーションを通じて、透明性を高め、従業員が自律的に行動できるよう支援しています。 GitLabのハンドブックは、会社のあらゆる情報が網羅的に文書化されており、従業員はいつでも必要な情報にアクセスすることができます。特に、メンタルヘルスの相談窓口やリソース、休暇取得に関するルールなど、不安を感じやすい項目については、詳細な説明が記載されています。
6. 積極的な「学び」でインポスター症候群を克服
GitLabでは、従業員が自身のキャリアプランやスキルアップについて考える時間を確保し、研修や学習機会を提供することで、従業員の成長を支援しています。 また、「すべてはドラフト」という価値観のもと、完璧主義を避け、積極的にアウトプットを共有し、フィードバックを得ることを推奨しています。 さらに、定期的に「自分が成し遂げたこと」を振り返り、文書化することで、客観的に自分の成果を認識し、自信をつけることを促しています。
実際にGitLabの最高人事責任者である Wendy Barnes がチームでの燃え尽き症候群への取り組みに関する短いインタビューをYouTubeに公開しているので、こちらも視聴してみると良いでしょう。
まとめ|リモートワークでも充実感を得られる働き方を
GitLabの事例が示すように、リモートワークで成果を上げながら、従業員のメンタルヘルスを守るためには、多角的なアプローチが重要です。組織全体で共有される価値観、透明性の高いコミュニケーション、非同期コミュニケーションの活用、そして個人の意識改革が、リモートワークにおける燃え尽き症候群対策の鍵となります。
「自分は大丈夫」と過信せず、まずは自身の働き方を見直し、積極的に休息や休暇を取り入れ、自分にとって最適なワークライフバランスを実現しましょう。そして、同僚や上司とコミュニケーションを取り、お互いに支え合いながら、心身ともに健康で、持続可能な働き方を目指しましょう。
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参考資料: