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【2024年7月改訂】生成AI時代に乗り遅れるな!DX人材育成の羅針盤「デジタルスキル標準」ver.1.2完全ガイド

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生成AIの衝撃、日本のDX推進は加速するか?

McKinseyの調査によると、生成AIは年間約7,000兆円もの経済効果を生み出す可能性を秘めています。これは、世界のGDPの約7%に相当する莫大な金額です。日本企業にとっても、生成AIは競争力を飛躍的に向上させる、まさに千載一遇のチャンスと言えるでしょう。しかし、この波に乗り遅れず、DXを成功させるためには、 「人材」 が鍵となります。

既存のビジネスモデルや業務プロセスを根本的に見直し、生成AIをはじめとするデジタル技術を最大限に活用できる人材を育成することが、企業の未来を左右する最重要課題となっています。

そこで、全てのビジネスパーソン必見なのが、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が策定した「デジタルスキル標準(DSS)」です。DSSは、DX推進に必要なスキルを体系的に整理した人材育成の羅針盤であり、最新バージョンver.1.2では、生成AI時代に対応した大幅な改訂が行われました。

この記事では、DSSの概要とver.1.2の改訂内容を分かりやすく解説し、企業と個人がどのように活用できるのか、具体的な方法を紹介します。あなたもDSSで、生成AI時代を勝ち抜くスキルを手に入れましょう!

デジタルスキル標準(DSS)とは?:2つの標準で人材育成を包括的にサポート

DSSは、大きく分けて「DXリテラシー標準(DSS-L)」と「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2つで構成されており、あらゆるレベルのDX人材育成を支援します。

1. DXリテラシー標準(DSS-L): 全てのビジネスパーソンが身につけるべきDXの基礎

DSS-Lは、全てのビジネスパーソンが身につけるべきDXの基礎知識・スキル・マインドを定義しています。DXの背景、活用されるデータ・技術、その利活用方法、必要なマインドセットまで網羅的に学べる、まさにDX時代の共通言語と言えるでしょう。

DXリテラシー標準の全体像

DSS-Lで習得できる具体的な知識・スキル・マインドセットの例

  • DXの背景: 社会の変化、顧客価値の変化、競争環境の変化など、DXが求められる背景を理解する。
  • データ・技術: データ分析、AI、クラウド、セキュリティなど、DXを推進するために必要な技術を理解する。
  • 利活用: データ・技術をどのようにビジネスに活用するか、具体的な事例を学ぶ。
  • マインドセット: 変化への対応力、創造的な問題解決能力、協調性など、DXを推進するために必要なマインドセットを身につける。

2. DX推進スキル標準(DSS-P): DXを推進する専門人材の育成に特化

DSS-Pは、企業のDXを推進する専門人材の役割(ロール)と必要なスキルを定義しています。ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つの類型に分類され、具体的なロールやスキルが詳細に示されています。

DSS-Pで定義されている5つの類型と具体的なロール例

  • ビジネスアーキテクト: 新規事業開発、既存事業の高度化、社内業務の高度化・効率化など、ビジネスの変革を推進する。
    • ビジネスアーキテクト(新規事業開発)
    • ビジネスアーキテクト(既存事業の高度化)
    • ビジネスアーキテクト(社内業務の高度化・効率化)
  • デザイナー: 顧客視点で製品・サービスのデザインを行い、顧客体験を向上させる。
    • サービスデザイナー
    • UX/UIデザイナー
    • グラフィックデザイナー
  • データサイエンティスト: データ分析を通じて、ビジネス課題の解決や新たな価値の創出を行う。
    • データビジネスストラテジスト
    • データサイエンスプロフェッショナル
    • データエンジニア
  • ソフトウェアエンジニア: DXを支えるシステムやソフトウェアの設計・開発・運用を行う。
    • フロントエンドエンジニア
    • バックエンドエンジニア
    • クラウドエンジニア/SRE
    • フィジカルコンピューティングエンジニア
  • サイバーセキュリティ: DX推進に伴うセキュリティリスクを管理し、安全なデジタル環境を構築する。
    • サイバーセキュリティマネージャー
    • サイバーセキュリティエンジニア

ver.1.2で生成AI時代のスキルを網羅!: DSS-LとDSS-Pの進化

2024年7月に公開されたver.1.2では、急速に普及する生成AIへの対応が最大の注目ポイントです。DSS-LとDSS-Pそれぞれに、生成AI関連の項目が追加・強化されています。

DSS-L:生成AIを使いこなすための知識・スキルを習得

DSS-Lでは、生成AIに関する以下の項目が強化されました。

  • 生成AIの技術動向: 生成AIの基礎知識、仕組み、最新動向を理解する。
  • 生成AIの倫理: 生成AI利用における倫理的な問題点、責任、ガイドラインを学ぶ。
  • 生成AIツール: 生成AIツール(ChatGPT, Gemini 等)の概要・利用方法を習得する。
  • データ流出: 生成AI利用におけるデータ流出のリスクと対策を理解する。
  • 法規制: 生成AI利用に関する法規制や利用規約を理解する。

DSS-P:生成AIを活用したDX推進をリードする人材育成

DSS-Pでは、生成AIに関する以下の項目が追加・強化されました。

  • 生成AIを活用する例: 各ロールにおいて、生成AIをどのように活用できるかの具体的な例を学ぶ。
  • 生成AIを組み込んだ製品・サービスの開発・提供: 生成AIを組み込んだ製品・サービスを開発・提供する際の行動例を学ぶ。
  • 新技術への向き合い方: 生成AIをはじめとする、常に進化する新技術への向き合い方・行動の起こし方を学ぶ。

プロダクトマネージャーを新たに定義!グローバルスタンダードに対応

ver.1.2では、グローバル標準で一般的な職種である プロダクトマネージャー(PdM) の定義も追加されました。プロダクトマネージャーは、ビジネスアーキテクトと連携し、デジタル技術を活用した事業、製品、サービスの価値向上を推進する、DX時代のキーパーソンと言えるでしょう。

プロダクトマネージャーの主な役割

  • 製品戦略の策定: 市場調査や顧客ニーズ分析に基づき、製品のビジョン、戦略、ロードマップを策定する。
  • 製品開発の推進: 開発チームと連携し、顧客のニーズを満たす製品を開発する。
  • 製品のローンチ: マーケティングチームと連携し、製品を市場に投入する。
  • 製品の改善: 顧客からのフィードバックを収集し、製品を継続的に改善する。

【具体例】企業・個人でDSS体系をこう活用しよう!

DSSは、企業、個人など、様々な立場の人が活用できます。それぞれの立場に合わせた活用方法を、具体的な例を交えて紹介します。

企業:

  • 人材要件定義: DSS-Pを参考に、DX推進に必要な人材要件を定義し、求める人物像を明確化します。例えば、「データサイエンティスト」を採用する際に、DSS-Pで定義されている「データビジネスストラテジスト」「データサイエンスプロフェッショナル」「データエンジニア」のどのロールが適任かを検討し、必要なスキルレベルを設定することができます。
  • 人材育成計画: DSS-LとDSS-Pを活用し、社員のスキルレベルに応じた段階的な人材育成計画を策定します。例えば、全社員にDSS-Lで定義されているDXリテラシーを習得させる研修を実施した後、DSS-Pで定義されている専門スキルを習得させる研修を実施することで、段階的にDX人材を育成することができます。
  • 研修プログラム開発: DSS-LとDSS-Pをベースに、実践的な研修プログラムを開発し、即戦力となる人材を育成します。例えば、生成AIを活用したデータ分析の研修プログラムを開発する際に、DSS-Pで定義されている「データサイエンスプロフェッショナル」のスキル項目を参考に、実践的なカリキュラムを作成することができます。
  • 採用活動: DSS-Pのロール定義を参考に、採用活動における基準を設定し、最適な人材を獲得します。例えば、 「クラウドエンジニア/SRE」 を採用する際に、DSS-Pで定義されているスキルレベルを基準に、応募者のスキルを評価することで、自社の求める人材を的確に見極めることができます。

個人:

  • スキルレベル把握: DSS-LとDSS-Pを使って、自身のスキルレベルを客観的に把握し、強みと弱みを分析します。例えば、自分が「ソフトウェアエンジニア」としてどの程度のスキルレベルなのかをDSS-Pで確認し、不足しているスキルを補うための学習計画を立てることができます。
  • キャリアパス設計: DSS-Pのロール定義を参考に、自身のキャリアパスを設計し、なりたい自分を明確化します。例えば、将来的に「データビジネスストラテジスト」を目指したい場合、DSS-Pで定義されているスキルや知識を習得するための具体的な学習プランを立てることができます。
  • 学習目標設定: DSS-LとDSS-Pの学習項目を参考に、具体的な学習目標を設定し、効率的なスキルアップを実現します。例えば、「AI・データサイエンス」分野のスキルアップを目指したい場合、DSS-Pで定義されている「数理統計・多変量解析・データ可視化」「機械学習・深層学習」などの学習項目を参考に、自分に必要な知識・スキルを絞り込んで学習することができます。
  • 研修受講: DSS-LとDSS-Pで紹介されているスキルを習得できる研修を受講し、実践的な能力を身につけます。IPAが提供する 「情報処理技術者試験」 や、民間の教育機関が提供するDX関連の研修など、DSSで定義されているスキルを習得するための様々な学習機会があります。

DSSを体系的に学べる!オンライン学習サービス「マナビDX」

IPAは、DSS-LやDSS-Pを 体系的に学べるオンライン学習サービス「 マナビDX を提供しています。マナビDXでは、動画やテキスト教材を通して、DXの基礎知識から、データ分析、AI、セキュリティなどの専門知識まで、幅広く学ぶことができます。

まとめ:DSSで生成AI時代をリードする人材へ

IPA「デジタルスキル標準」は、生成AI時代に対応したDX人材育成のための最強のガイドです。企業はDSSを活用することで、DX推進を成功に導く優秀な人材を育成することができます。また、個人はDSSを自身のキャリア形成に役立てることができます。ぜひ、DSS-LとDSS-Pを参考に、生成AI時代をリードする人材を目指しましょう!


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参考資料: