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【IPA調査】企業の営業秘密漏洩が過去4年で7倍に急増、あなたの会社は大丈夫?

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企業の競争力の源泉である技術情報や顧客リストといった営業秘密。その管理は、企業経営における最重要課題の一つです。しかし、その営業秘密が危険に晒されている実態が、最新の調査によって浮き彫りになりました。

本記事では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「企業における営業秘密管理に関する実態調査 2024」に基づき、国内企業の営業秘密漏洩の驚くべき実態と、企業が今すぐ取るべき対策について詳しく解説していきます。

営業秘密の漏洩経験、過去4年で驚異的な増加

今回の調査で最も衝撃的な結果は、過去5年以内に営業秘密の漏洩を経験した企業の割合が、2020年度調査から飛躍的に増加したことです。「明らかに情報漏えい事例と思われる事象があった」または「おそらく情報漏えいではないかと思われる事象があった」と回答した企業の割合は、2020年度の5.2%から35.5%へと、実に約7倍に急増しています。

過去5年以内の営業秘密の漏えい事例の有無(経年比較) 過去 5 年以内の営業秘密の漏えい事例の有無(経年比較)

この数値は、多くの企業が営業秘密漏洩の脅威に直面している現実を明確に示しています。また、「わからない・認識できていない」という回答が16.5%から9.7%に減少していることから、企業の情報管理に対する意識向上と、漏洩インシデントを検知する能力の向上が背景にある可能性も考えられます。

漏洩の二大経路:巧妙化する外部攻撃と、依然として残る内部リスク

営業秘密はどのような経路で漏洩しているのでしょうか。2020年度調査では「中途退職者による漏洩」が最多でしたが、今回の調査では「外部からのサイバー攻撃」が36.6%でトップとなりました。これは、ランサムウェア攻撃などによる情報窃取の事例が増加している近年の状況を反映していると考えられます。

一方で、「現職従業員のルール不徹底」が32.6%、「金銭目的等の動機を持った従業員による漏洩」が31.5%と、内部に起因する漏洩も依然として高い割合を占めています。外部の脅威だけでなく、内部の情報管理体制や従業員教育の重要性も改めて浮き彫りになりました。

漏えいルート(MA、経年比較) 漏えいルート(MA、経年比較)

漏洩がもたらす深刻な金銭的ダメージ

営業秘密の漏洩は、企業の信頼失墜だけでなく、直接的な金銭的損害にも繋がります。漏洩による損害額の推定では、「10億円以上」と回答した企業の割合が、2020年度調査の0%から30.0%へと大幅に増加しました。

漏えいによる推定損害額(n=426) 漏えいによる推定損害額(n=426)

漏えいによる推定損害額(2020 年度調査、n=114) 参考: 漏えいによる推定損害額(2020 年度調査、n=114)

これは、漏洩する情報の価値が高まっていること、そしてサイバー攻撃などによって一度に大量の情報が窃取されるケースが増えていることを示唆しています。営業秘密の漏洩が、企業の事業継続に深刻な影響を与えかねない、極めて重大なリスクであることがわかります。

漏洩発覚のきっかけは「外部からの指摘」が最多

企業はどのようにして情報漏洩を認識するのでしょうか。漏洩を認識したきっかけとして最も多かったのは、「第三者からの指摘」と「他社による情報の使用を偶然発見」で、それぞれ33.3%でした。特に後者は2020年度の1.8%から大幅に増加しており、企業が自社の情報資産の動向を以前よりも注意深く監視するようになった結果かもしれません。

漏えい事例を認識したきっかけ(MA、経年比較) 漏えい事例を認識したきっかけ(MA、経年比較)

自社の能動的な活動によって漏洩を発見するケースも増えていますが、依然として外部からの指摘に頼る部分が大きいのが現状です。インシデントを早期に発見し、被害を最小限に食い止めるためには、自社内での監視体制の強化が不可欠です。

まとめ:今、企業に求められる営業秘密管理とは

今回のIPAの調査結果は、日本の企業が直面する営業秘密漏洩のリスクが、かつてないほど高まっていることを明確に示しました。巧妙化・悪質化する外部からのサイバー攻撃への対策はもちろんのこと、従業員のミスや不正を防ぐための内部管理体制の強化も急務です。

企業は、自社の営業秘密が何であるかを正確に定義・分類し、アクセス管理や監視体制を徹底するとともに、全従業員に対する継続的なセキュリティ教育を実施する必要があります。営業秘密管理を「コスト」ではなく「投資」と捉え、経営層の強いリーダーシップのもとで、全社的な対策を推進していくことが、企業の持続的な成長を守る鍵となるでしょう。


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参考資料:

Author: vonxai編集部

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