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【令和最新版】Google流「効果的なエンジニアリングチーム」のつくり方
ソフトウェアエンジニアリングの世界で、生産性や品質、そしてチームの幸福度を高めるためには、効果的なチーム運営が不可欠です。しかし、その方法論は複雑で、現場のリーダーたちは日々試行錯誤を重ねています。
そんな中、Google Chrome デベロッパーエクスペリエンス責任者である Addy Osmani 氏によって、2024年6月に待望の新刊書 「 Leading Effective Engineering Teams 」 が O’Reilly Media より出版されました。Google で10 年以上にわたりエンジニアリングリーダーとして活躍してきた同氏の経験と徹底的な調査に基づいて書き上げた本書は、すでに多くのエンジニアから注目を集めています。本記事ではそのエッセンスを紹介します。
Google が導き出した「効果的なチーム」の5つの要諦
本書では、Google が過去に行った「プロジェクト・アリストテレス」などの研究を基に、効果的なチームを形作る 5 つの重要な要素 をピラミッド構造で示しています。そのピラミッドの土台となる最も重要な要素が「心理的安全性」であり、上位に行くにつれて、チームとしての成熟度が高まっていく様子が分かります。
このピラミッド構造は、チーム作りにおける優先順位を示唆しています。つまり、まずはメンバーが安心して意見を言える「心理的安全性」を確保することから始め、信頼関係を築きながら、明確な目標設定、仕事への意義、そして影響力の実感へと、段階的にチームを成長させていくことが重要なのです。
Google流リーダーシップモデルを解説
本書では、 Google で見られる、
- テックリード: 技術的な指導者としてチームを牽引する役割
- エンジニアリングマネージャー: プロジェクト管理、人材育成、組織との連携を担う役割
- テックリードマネージャー: 技術力とマネジメント力の両方を持ち、少人数チームを率いる役割
という 3 つのリーダーシップの役割についても詳しく解説されています。
これらの役割は、必ずしも階層構造になっているわけではありません。本書では、チームの中心にいる「チーム」メンバーと、プロダクトマネージャー、テックリード、そして、エンジニアリングマネージャーやテックリードマネージャーとの関係性を図で示し、それぞれの役割が、
- プロダクトのビジョンと戦略
- 技術的な経験とガイダンス
- チームメンバーの育成とプロジェクトの成功
という3つの領域にどのように関わっていくのかを分かりやすく説明しています。
特にテックリードマネージャーは、 Google のような大規模組織でこそ存在感を増す、比較的新しい役割と言えるでしょう。本書では、各役割の責任範囲や必要とされるスキルセット、そして他のチームメンバーとの関わり方などが具体的に説明されています。
チーム運営の成功は「環境づくり」と「モチベーション」が鍵
本書では、チームの規模、多様性、コミュニケーション、アジリティ、そして勤務形態といった要素も、チームの有効性に影響を与える可能性があると指摘しています。
これらの要素と、先述した「効果的なチームの5つの要素」の関係性を図で示すことで、チーム運営における重要な視点を明らかにしています。
すなわち、チームリーダーは、チームの規模や構成員の多様性、コミュニケーション方法、そして働く場所などを考慮しながら、「心理的安全性の確保」や「信頼関係の構築」といった、効果的なチーム作りに欠かせない要素を育んでいかなければならないのです。
まとめ: Google の哲学から学び、より良いチーム作りを
本書は、 Google で培われたチーム運営のノウハウを、具体的な事例や実践的なアドバイスとともに紹介した、エンジニア必携の一冊と言えるでしょう。
「効果的なエンジニアリングチームを率いる」を読むことで、
- チームの潜在能力を最大限に引き出す方法
- 変革を推進し、優れた成果を生み出す方法
を学ぶことができます。
チームを率いる立場にある方はもちろん、これからリーダーを目指そうと考えている方にとっても、多くの示唆を与えてくれるはずです。ぜひ本書を手に取って、 Google の哲学をあなたのチームにもあてはめてみてください。
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参考文献: