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Googleが6年間実施した開発者満足度調査「EngSat」でわかったこととは?
開発者体験(DevEx)の向上は、多くの企業にとって重要な課題です。Googleも例外ではなく、開発者の生産性や満足度を高めるために様々な取り組みを行っています。その中でも特に注目すべきは、2018年から四半期ごとに実施されている 大規模な開発者満足度調査「EngSat(Engineering Satisfaction Survey)」 です。
本記事では、GoogleがEngSatを通じて明らかにしてきた開発者体験の現状と課題、そしてその進化について詳しく解説します。
EngSatとは?
EngSatは、Googleが独自に開発した開発者満足度調査です。アンケート形式で実施され、開発者が普段使用している社内の開発ツールやワークフロー、職場環境に対する意見や評価を収集します。Googleは、この調査結果を基に、開発者体験を向上させるための施策を検討・実施しています。
EngSatで明らかになった3つの重要なポイント
Googleは、EngSatを通じて、開発者体験に関する多くの貴重なデータを得てきました。中でも特に重要なのは、以下の3つのポイントです。
1. コロナ禍による開発者体験への影響
EngSatでは、コロナ禍によるリモートワークへの移行が、開発者の生産性や働き方に大きな影響を与えたことが明らかになりました。Googleは、この結果を受けて、リモートワークアクセスと接続性の改善など、開発者がより快適に働けるようなサポート体制の構築を進めた結果、生産性は回復し、パンデミック前を超える事さえありました。
2. 技術的負債が開発者の生産性を阻害する
EngSatでは、技術的負債が開発者の生産性を著しく低下させる要因となっていることが浮き彫りになりました。Googleは、この問題に対処するために、技術的負債の可視化や解消を促進するためのツールやベストプラクティスを開発し、開発者への啓蒙活動にも力を入れました。その結果、EngSatの調査では、技術的負債に対するマイナス感情が大幅に改善されました。
3. 開発者体験向上の鍵は「データに基づいた改善」
Googleは開発者体験の向上のため、ログデータを用いてフロー状態や集中作業を促進・阻害する要因の調査・分析に取り組んでいます。自己申告によるフローや集中作業に関するEngSatの調査結果と、ログベース指標を組み合わせることで、開発者の経験に変化をもたらす要因の特定を目指しています。
EngSatの進化:より精度の高いデータ収集へ
Googleは、EngSatをより効果的なものにするために、常に改善を続けています。近年では、調査項目の見直しや回答率向上のための工夫など、様々な取り組みが行われています。
- 調査項目の絞り込みと明確化: 全ての開発者にとって重要な項目に絞り込み、より精度の高いデータ収集を目指しています。
- サンプリングによる負担軽減: 開発者をグループ分けし、順番に調査を行うことで、回答者の負担を軽減しています。
- 透明性と説明責任の徹底: 調査結果を社内全体に公開し、フィードバックをどのように活用しているかを明確にすることで、開発者からの信頼獲得に努めています。
まとめ:Googleの開発者体験への取り組みは進化を続ける
Googleは、EngSatを通じて開発者体験の現状と課題を把握し、改善のための取り組みを継続的に行っています。その結果、Googleの開発者体験は年々向上しており、世界中の開発者から高い評価を受けています。
Googleの取り組みは、他の企業にとっても大きな参考になるでしょう。開発者体験の向上は、企業の競争力を高める上で非常に重要です。GoogleのEngSatのような取り組みを参考に、自社の開発者体験向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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参考資料: