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デイリースタンドアップミーティングは廃止すべき?

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「アジャイル開発」、それは、ソフトウェア開発の現場において、もはや主流と言える手法と言えるでしょう。しかし、その一方で、形骸化したアジャイル開発が横行し、開発者の生産性やモチベーションを著しく低下させているという批判も少なくありません。

今回は、海外のDevOpsコミュニティで話題になっている、ブログ記事「 Some Thoughts As I Sit Here in Another Standup 」を題材に、この問題について考察します。このブログ記事で、著者は、自らが体験した、形骸化し、開発者の生産性やモチベーションを著しく低下させているアジャイル開発の実態を「儀式」と表現し、痛烈に批判しています。

「儀式」と化したアジャイル開発の現状

著者は、毎日のスタンドアップミーティング、スプリントレビュー、スプリントプランニングといったアジャイル開発における主要なイベントが、その本来の目的から逸脱し、意味のない「儀式」と化していると批判します。

無意味なスタンドアップミーティングの実態

例えば、スタンドアップミーティングでは、本来は開発者同士が簡潔に情報共有を行い、迅速な意思決定を促進することが目的です。しかし、著者の経験では、これが形骸化し、ただ単にJiraのチケットを順番に読み上げ、進捗状況を報告するだけの時間になってしまっていると指摘しています。

著者は、本来スタンドアップミーティングで議論すべき内容が、別の会議で検討されたり、重要な情報が共有されないまま開発が進められる状況に陥っていると訴えています。

スプリントレビュー/プランニングにおける問題点

スプリントレビューやスプリントプランニングも同様です。前回のイベントと全く同じ議論を繰り返すだけで、何の生産性も生み出していないと批判しています。

スプリントレビューでは、開発した成果物を関係者へ共有し、フィードバックを得ることが重要ですが、形骸化したスプリントレビューでは、フィードバックが得られない、あるいは、フィードバックが開発プロセスに活かされないケースも散見されると著者は指摘します。

また、スプリントプランニングでは、次のスプリントで取り組むべきタスクを計画しますが、形骸化したプランニングでは、計画が現実的でない、あるいは、計画通りに進捗しないケースが多いと嘆いています。

無意味なスプリントゴールの実態

著者は、スプリントゴールの設定についても疑問を呈しています。

「私たちのチームのスプリントゴールは、仕事を完了させることです」

著者は、皮肉を込めてこのように述べていますが、これは決して珍しいケースではありません。スプリントゴールは、スプリント期間中にチームが目指すべき明確な目標を設定することで、開発の集中力を高め、成果を最大化することを目的としています。しかし、多くの場合、スプリントゴールは「仕事を完了させる」といった当たり前の内容に終始し、実際には何の指針にもなっていないケースが散見されると著者は指摘します。

マネジメント層の責任:形骸化の根本原因

著者は、このようなアジャイル開発の形骸化の根本原因は、マネジメント層にあると指摘します。マネジメント層は、現場の実態を理解することなく、流行りの手法やツールを導入し、表面的な成果を求める傾向があります。

その結果、開発現場は、本来の目的を見失った形式的なプロセスや会議に追われ、疲弊していくという悪循環に陥ってしまうのです。

日本のDevOpsコミュニティが考えるべきこと

この記事は、海外の開発者の体験に基づいたものですが、日本のDevOpsコミュニティにとっても、決して他人事ではありません。形骸化したアジャイル開発、意味のない会議やドキュメント、上辺だけのコミュニケーション… 思い当たる節はありませんか?

アジャイル開発は、本来、開発チームが自律的に行動し、変化に柔軟に対応することで、より良いソフトウェアを開発するための手法です。しかし、現状は、多くの現場で、アジャイル開発の原則から逸脱し、形骸化しているのではないでしょうか。

著者が鋭く指摘するアジャイル開発の「儀式」化。それは、私たち自身の開発現場にも潜んでいる問題かもしれません。


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