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Puppet 元CTOが明かす、DevOps進化を阻む「意外な壁」とその乗り越え方
「クラウドを使いこなせている企業は、実は少ない」
あなたはそう感じていませんか? 6,200 を超える企業の DevOps 導入状況を 10 年以上にわたり調査してきた Puppet 社。元 CTO である Nigel Kersten 氏は、長年の経験から、多くの企業が DevOps を真に活用できていない現状を目の当たりにしてきました。
本記事では、人気ポッドキャスト「Screaming in the Cloud」での Kersten 氏とホスト Corey Quinn 氏の対談を基に、Kersten 氏が Puppet 社で見出してきた DevOps の進化を阻む「意外な壁」と、その乗り越え方、そして未来への教訓について解説します。
レガシーシステムという「負の遺産」が進化を阻む
Quinn 氏は、多くの企業が、急速に複雑化し管理不能になりつつある「レガシーシステム」にしがみついている現状を指摘します。Kersten 氏もこの意見に同意し、変化を恐れるあまり、古いシステムや慣習に固執してしまうことが、DevOps の導入を遅らせている大きな要因だと分析しています。
Kersten 氏 「担当者は、変化によって職を失うことを恐れているケースが多い。そのため、新しい技術や働き方への抵抗が生まれやすいのです。」
Kubernetes は「不可視化」する? 抽象化が進むDevOps の未来
コンテナ化技術の普及により、Kubernetes は DevOps における重要な技術として台頭しました。しかし Quinn 氏は、Kubernetes の複雑さが、新たな課題を生み出していると指摘します。
Quinn 氏 「Kubernetes は、将来的にはより抽象化され、裏側で動作する「不可視」の存在になるでしょう。かつて Apache Web サーバーを構築するのに3日掛かっていましたが、今はDockerを立ち上げるかS3のチェックボックスをクリックするだけです。」
10年間のレポートが明らかにした、DevOps 導入における2つの大きな壁
Puppet 社が 10 年間にわたり実施してきた State of DevOps レポートでは、DevOps 導入に取り組む企業が、共通して 2 つの課題に直面していることが明らかになりました。
- DevOps 人材の不足: 特に Kubernetes のような新しい技術分野において、スキルを持つ人材の確保が困難になっています。
- レガシーインフラストラクチャの存在: 古いシステムやインフラストラクチャが、組織全体の俊敏性を阻害する要因となっています。
Kersten 氏は、これらの課題を解決するために、「チームトポロジー」と呼ばれる組織構造が有効だと提唱しています。
Kersten 氏 「チームトポロジーは、プラットフォームチーム、バリューストリームチーム、複雑なサブシステムチーム、イネーブリングチームという 4 つのチームタイプで構成されます。それぞれのチームが明確な役割を持ち、連携することで、組織全体の効率性と俊敏性を向上させることができます。」
クラウドを「使いこなせていない」企業が多い理由とは?
クラウドは、DevOps を実践する上で欠かせない存在です。しかし、Kersten 氏は、多くの企業がクラウドを「オンプレミスの延長」としてしか捉えられておらず、その真価を発揮できていないと指摘します。
Kersten 氏 「クラウドネイティブなアーキテクチャやサーバレスといった先進的な技術を活用せず、従来型のインフラストラクチャ管理の延長線上でクラウドを利用している企業が多いのが現状です。」
DevOps を成功に導くために: 共感、コンテキスト、そして継続的な学習
Quinn 氏は、DevOps を成功させるためには、過去の制約にとらわれず、現状に最適な方法を柔軟に取り入れていくことが重要だと述べています。
Quinn 氏 「大切なのは、現場の担当者に共感し、彼らの置かれている状況を理解すること。その上で、現状における最適な解決策を共に考えていくことが重要です。」
DevOps の世界は常に進化を続けています。変化を恐れず、学び続け、そして互いに協力し合うこと。それが、この激動の時代を生き抜き、成功を掴むための鍵となるでしょう。
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