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VSCode拡張機能の8.5%にクレデンシャル漏洩リスク?! 今すぐできる対策とは
Visual Studio Code (VSCode) は、その豊富な拡張機能によって開発効率を大幅に向上させる強力なツールです。しかし、その利便性の陰に潜むセキュリティリスクにあなたは気づいているでしょうか? 最新の研究では、人気拡張機能を含む多くのVSCode拡張機能が、あなたのクレデンシャルを危険にさらす可能性があることが明らかになりました。パスワード、APIキー、アクセストークンなど、重要な情報が悪意のある拡張機能によって盗み取られるかもしれないのです。
この記事では、VSCode拡張機能に潜む知られざる危険性と、具体的な対策方法を分かりやすく解説します。開発環境の安全性を確保するために、ぜひ最後までお読みください。
なぜVSCode拡張機能は危険なのか?
VSCodeの最大の魅力は、拡張機能による柔軟なカスタマイズです。しかし、この拡張機能こそがセキュリティリスクの温床となる可能性を秘めているのです。モナッシュ大学と北京航空航天大学の研究チームによる調査によると、なんと調査対象となったVSCode拡張機能の 8.5% に、クレデンシャル関連のデータ漏洩リスクが存在することが判明しました。
このリスクの根源は、拡張機能間の相互作用によって生じる脆弱性です。悪意のある拡張機能は、他の拡張機能のセキュリティホールやVSCode自体の脆弱性を悪用し、クレデンシャルを盗み取ったり、操作したりする可能性があります。特に、globalState
のような共有ストレージ機構は、攻撃者にとって格好の標的となりえます。
具体的な攻撃手法:3つの攻撃ベクトル
研究チームは、主に以下の3つの攻撃ベクトルを特定しました。
- 不適切なクレデンシャルの保存: 拡張機能の設定や
globalState
にクレデンシャルを平文で保存することは非常に危険です。攻撃者は容易にこれらの情報にアクセスできてしまいます。クレデンシャルは必ず暗号化して保存するようにしましょう。 - 安全でないクレデンシャルの入力: APIキーなどをコピー&ペーストで入力ボックスに貼り付ける操作は便利ですが、セキュリティリスクを伴います。悪意のある拡張機能はクリップボードの内容を監視し、コピーされたクレデンシャルを盗み取ることが可能なのです。
- 危険なクレデンシャルの操作: コマンドなどの操作にクレデンシャルの操作が紐づけられている場合、そのコマンドが悪用されるリスクがあります。攻撃者は正規のコマンドを装って、あなたのクレデンシャルを不正に取得しようと試みるかもしれません。
GitHub Copilotの提供するコマンド例
衝撃の調査結果!その規模と深刻さを理解する
研究チームは独自に開発した自動リスク検出ツールを用いて、27,261件 もの実在するVSCode拡張機能を分析しました。その結果、2,325件(約8.5%) もの拡張機能にクレデンシャル関連のデータ漏洩リスクが存在することが判明しました。これは決して無視できない数字です。
クレデンシャル漏洩の全体像
特に、AIコーディングアシスタントに関連する拡張機能は、外部サービスとの連携にクレデンシャルが必要となるため、漏洩リスクがより高い傾向にあります。このカテゴリで2023年に新たに公開された拡張機能の70%に脆弱性が発見されたという事実は、この分野のセキュリティ対策の遅れを深刻に示唆しています。
AIコーディングアシスタント拡張機能におけるクレデンシャル漏洩の傾向
拡張機能の人気度とセキュリティリスクの意外な関係
驚くべきことに、拡張機能の人気度とセキュリティリスクの間には、直感に反する関係性があることが分かりました。インストール数が少ない拡張機能の方が、数としてはクレデンシャル漏洩のリスクを抱えているものが多く存在しますが、割合でみると、人気のある拡張機能の方がリスクが高い傾向にあるのです。
1000インストール未満の拡張機能では、1,441件もの拡張機能にクレデンシャル漏洩の可能性が検出されました。一方で、100万インストール以上の拡張機能では、検出されたのはわずか25件ですが、その割合は 10.73% と、全体平均の8.5%を大きく上回っています。
拡張機能の人気度別クレデンシャル漏洩リスク
つまり、インストール数が多いからといって安全とは限らない、ということです。人気のある拡張機能だからといって安心せず、セキュリティリスクへの意識を常に高く持つことが重要です。拡張機能を選ぶ際には、人気度だけでなく、セキュリティに関する情報も確認する習慣を身につけましょう。
今すぐできる対策:リスク軽減のための具体的なアクション
これらの脅威から開発環境を守るために、開発者とユーザーはそれぞれ以下の対策を講じることが重要です。
開発者向け:安全なコードでリスクを最小限に!
- クレデンシャルは必ず
SecretStorage
などの安全なAPIを用いて暗号化し、安全に保存しましょう。globalState
への平文での保存は絶対に避けましょう。 - クレデンシャルに関連する操作には、コマンドアクセスを使用しないように設計しましょう。
ユーザー向け:賢い選択と設定でリスクを回避!
- 拡張機能をインストールする際は、評価、レビュー、説明を注意深く確認し、信頼できる提供元から提供されている拡張機能を選びましょう。
- VSCodeの制限モードを活用しましょう。必要な拡張機能だけを有効化することで、リスクを大幅に軽減できます。
まとめ:安全な開発環境の実現に向けて
VSCode拡張機能は開発効率を飛躍的に向上させる強力なツールですが、セキュリティリスクへの意識を常に高く持つことが不可欠です。この記事で紹介した対策を実践し、安全な開発環境を構築し、あなたの貴重なクレデンシャルをしっかりと守りましょう。
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参考資料: