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2025年、働き方はどう変わる?Glassdoorが予測する5つのワークライフトレンド
2024年11月19日、企業口コミサイトを運営するGlassdoorは、2025年以降の働き方のトレンドを予測したレポート「Glassdoor Worklife Trends 2025」を発表しました。本レポートは、Glassdoor独自のデータと、3,390人の専門家を対象としたアンケート調査に基づき、今後の働き方を方向付ける5つのトレンドを明らかにしています。
本記事では、特にテクノロジー業界に焦点を当て、これらのトレンドが日本の労働市場にどのような影響を与えるのかを考察します。
トレンド1:従業員の鬱積した不満が爆発する
現状と背景
景気後退懸念が囁かれる中、多くの労働者は、より良い成長の機会と給与を提供する新しい仕事に移る代わりに、現状維持を余儀なくされています。Glassdoorの調査では、回答者の65%が現在の役割に「行き詰まり」を感じており、特にテクノロジー分野では73%に上ります。この数値は、男性(62%)よりも女性(68%)で高い傾向にあります。
業界別データ
日本においても、長期的な雇用慣行と年功序列制度の影響で、特に若手社員がキャリアの停滞感を感じやすい環境にあります。転職によるキャリアアップが一般的になりつつありますが、依然として終身雇用を前提とした企業も多く、労働市場の流動性は米国と比較して低いと言えるでしょう。こうした環境は、従業員の「行き詰まり感」を助長する可能性があります。
米国の離職率
この背景には、米国の離職率の低下があります。2024年9月には1.9%にまで低下し、2020年6月以来初めて2%を下回りました。
これは、労働者が転職を控え、現状に甘んじていることを示唆しています。
キャリアチャンスへの満足度
Glassdoorのサイト内の評価においても、キャリアチャンスに関する評価は2022年の3.79から2024年には3.67へと低下。特に情報技術分野では7.5%の低下と、最も大きな落ち込みを見せています。
日本のIT業界では、スキルアップのための研修制度が不十分な企業や、年功序列のために若手の意見が通りにくい企業も多く、特に若手エンジニアの不満が高まっています。また、レガシーな技術を使い続ける企業も多く、最新技術を学びたいエンジニアのモチベーション低下を招いている例も見られます。これらの不満は「静かな退職」(積極的に仕事に関与しない状態)として現れている可能性があり、今後、優秀な人材の流出につながるリスクがあります。
トレンド2:キャリアラダーから落ちることで、労働者の給与とキャリアの成長が阻害される
現状と課題
雇用市場の冷え込みは、労働者に「キャリアラダーからの落下」を強いています。解雇や、やむを得ない事情で転職を余儀なくされた労働者は、より低い賃金やより低い職務レベルで妥協せざるを得ない状況に追い込まれています。
給与減少データ
Glassdoorの給与データによると、転職した労働者の17%が、2024年に給与が実際に減少したと回答しており、これは2023年の15%、2019年の14%から増加しています。特にテクノロジー業界では、給与減少率が最も高く、2019年の11%から2024年には18%に増加しています。
日本では、非正規雇用の増加や、中高年層のリストラが社会問題となっています。これらの労働者が再就職する際、以前の職よりも低い賃金や職位を受け入れざるを得ないケースが多く見られます。特に、専門性の高いスキルを持つシニア層が、経験に見合わない条件での再就職を余儀なくされることもあり、社会的な損失となっています。
管理職への影響
この傾向は、管理職でさらに顕著です。2024年に転職した管理職の22%が給与の減少を経験しており、管理職以外の職(IC: Individual Contributor)に転職した元管理職では32%に上ります。
トレンド3:2025年には、管理職の10人に1人がZ世代になる
Z世代の台頭
2025年には、Z世代(1997年から2012年生まれ)の最年長メンバーは28歳になり、労働力として約10年を過ごすことになります。現在の傾向に基づくと、2025年には管理職の10人に1人がZ世代になると予測されています。
世代間比較
これは、ミレニアル世代やジェネレーションXが27歳の時とほぼ同じ比率であり、Z世代が上の世代と同様のキャリアパスを歩んでいることを示しています。
リーダーシップの変化
しかし、管理職に就くZ世代が増えるにつれ、リーダーシップのスタイルにも変化が見られるでしょう。Glassdoorのレビューデータによると、従業員はリーダーに対して、共感や幸福、明確さなどを求める傾向が強まっています。これは、従来のトップダウン型のリーダーシップではなく、より共感的で透明性の高いリーダーシップが求められていることを示唆しています。
日本企業においても、Z世代の管理職登用は徐々に進むと予想されます。年功序列の意識が薄れ、実力主義を重視する企業が増える中、若手の抜擢人事も増えていくでしょう。Z世代の価値観を理解し、彼らがリーダーシップを発揮できる環境を整備することが、企業の成長にとって重要な鍵となります。具体的には、1on1ミーティングの導入や、フィードバック文化の醸成など、Z世代とのコミュニケーションを円滑にするための施策が有効と考えられます。
トレンド4:副業文化がキャリア成長への新たな道を促進する
副業の普及
雇用が冷え込む一方で、多くの労働者が起業や副業に目を向けています。2024年のGlassdoor Harris世論調査によると、収入を補うために副業をしている従業員は39%で、Z世代では57%、ミレニアル世代では48%に上ります。
新規事業の増加
パンデミック以降、新規事業の申請は急増しており、副業がキャリア成長の新たな道として注目されていることが伺えます。
日本では、政府が副業・兼業を推進していることもあり、副業を認める企業が増えています。特に、ITスキルを持つ人材は、副業を通じて収入を増やしたり、スキルアップを図ったりするケースが増加しています。フリーランスやギグワーカーといった働き方も、少しずつではあるものの、日本社会に浸透しつつあります。
ソーシャルメディアの影響
さらに、ソーシャルメディアとインフルエンサーの普及により、日本でもコンテンツ作成などの新しいタイプの副業に定期的に触れるようになり、これが日本人の働き方にも影響を与えています。企業は、副業を認めることで、従業員のスキルアップやモチベーション向上につなげることができるでしょう。
トレンド5:雇用主は全体的な健康に投資している
メンタルヘルスの重要性
今日の雇用主は、従業員の総合的な健康の重要性をより深く認識し、福利厚生への投資を拡大しています。Glassdoorの調査によると、従業員の48%が、5年前と比べて職場でメンタルヘルスを優先することが難しくなったと回答しています。
メンタルヘルスケアの拡大
これを受け、雇用主はメンタルヘルスケアの適用範囲を急速に拡大。従業員は、メンタルヘルスケアの給付を受ける機会が2019年から2024年にかけて18%ポイント増加したと報告しています。
共感的なリーダーシップ
また、従業員の間で共感的なリーダーシップの重要性が増していることがわかります。
日本では、長時間労働やハラスメントによるメンタルヘルス問題が深刻化しています。企業は、従業員の健康を守るため、メンタルヘルスケアを含む福利厚生の充実を図る必要があります。具体的には、産業医との連携強化や、カウンセリングサービスの導入、ストレスチェックの実施などが考えられます。また、リモートワークの導入や、フレックスタイム制度の活用など、働き方の多様化を進めることも、従業員のウェルビーイング向上に寄与するでしょう。
まとめ
Glassdoorのレポートは、2025年に向けて労働市場と働き方が大きな転換期を迎えることを示唆しています。特にテクノロジー業界では、従業員の行き詰まり感、キャリア成長の阻害、Z世代の台頭、副業の普及、従業員の健康への投資という5つのトレンドが顕著になると予測されます。企業はこれらの変化に迅速に対応し、従業員エンゲージメントの向上、多様なキャリアパスの提供、Z世代の価値観に合致したリーダーシップモデルの構築、そして従業員の健康増進に注力することが、今後の持続的な成長の鍵となるでしょう。
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参考資料