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Javaは今も現役?2025年の最新動向を徹底解説!【調査レポート】

Javaは1995年に誕生してから30年近く経ちますが、今でもエンタープライズシステムを中心に広く利用されているプログラミング言語です。変化の激しいIT業界において、これほど長く使われ続けていることは驚くべきことだと言えるでしょう。
本記事では、Azulが実施した「The State of Java Survey and Report 2025」に基づき、Javaの最新動向を詳しく解説していきます。Javaの利用状況、Oracle Javaからの移行状況、クラウド、DevOps、AIといった分野でのJava活用について、データを示しながら分かりやすくお伝えします。
依然として高いJavaの普及率 - 企業の約7割が利用
Javaは、エンタープライズITにおいて、依然として非常に重要な役割を担っています。Azulが世界中の企業で働く2,000名以上のJavaユーザーを対象に実施した調査によると、アンケートに回答した企業の約7割が、アプリケーションの50%以上をJavaで構築しているか、Java仮想マシン(JVM)上で実行していると回答しています。
Javaで構築されている、もしくはJVM上で実行されているアプリケーションの割合
この結果から、多くの企業がJavaを基幹システムや主要なアプリケーションの基盤として利用していることが分かります。
主要なJavaバージョンとシェア
Javaは定期的にバージョンアップが行われており、新しいバージョンほどパフォーマンスやセキュリティが向上しています。しかし、企業においては、安定性や互換性の観点から、古いバージョンを使い続けているケースも少なくありません。
本番環境のアプリケーションで使用しているJavaバージョンはどれですか?(複数可)
最も利用されているのはJava 17(34%)で、次いでJava 21(31%)、Java 11、8(23%)となっています。 いずれも長期サポート(LTS)バージョンであるため、企業の利用が進んでいると考えられます。 一方で、Java 11、8はリリースから月日が経っていますが、いまだに高いシェアを占めています。
Oracle Javaの価格に不満の声 - OpenJDK移行が加速
Javaの利用において、近年大きな問題となっているのが、Oracle Javaのライセンスと価格設定です。Oracleは2023年にJavaの価格設定モデルを変更し、従業員数に応じた課金体系を導入しました。
この変更に対して、多くの企業が不満を抱いています。本調査では、Oracle Javaユーザーの82%が、そのコスト構造について懸念を示していることが明らかになりました。
Oracle Javaの価格設定に対する懸念
9割近くの企業がOpenJDKへの移行を検討
Oracle Javaの価格設定に対する不満から、多くの企業がOpenJDKへの移行を検討しています。OpenJDKは、オープンソースで提供されているJavaの実装であり、無償で利用することができます。
本調査では、Oracle Javaユーザーの88%が、別のJavaプロバイダー(OpenJDKを含む)への切り替えを検討していると回答しています。
Oracleディストリビューション以外への移行を検討していますか?
この結果から、Oracle JavaからOpenJDKへの移行が、今後さらに加速していくことが予想されます。
Javaのクラウド利用 - コスト最適化が大きな課題
近年、多くの企業がシステムをクラウド環境へ移行しており、Javaアプリケーションも例外ではありません。クラウド環境でJavaを利用することで、柔軟性や拡張性、可用性の向上が期待できます。
しかし、クラウドの利用にはコストがかかります。本調査では、クラウドでJavaを利用している企業の多くが、コスト最適化に課題を抱えていることが明らかになりました。
クラウドコンピューティングコストの半分以上を占めるJava
クラウドでJavaを使用している組織の3分の2近くが、クラウドコンピューティングコストの50%以上がJavaから発生していると回答しています。
Javaのクラウドコンピューティングコスト割合
多くの企業にとって、Javaアプリケーションはクラウド利用コストの大きな部分を占めていることになります。
また、多くの組織はコンピューティング容量を十分に活用しておらず、クラウドリソースに過剰な料金を支払っています。アンケートでは、回答者の71%がクラウドコンピューティング容量の20%以上をアイドル状態にしていることがわかりました。
未使用のクラウドコンピューティング容量
これらのことから、Javaアプリケーションのクラウド利用においては、コスト最適化が非常に重要な課題となっていることが分かります。
DevOpsの生産性を阻害 - デッドコードとセキュリティ脆弱性
Javaアプリケーションの開発・運用においては、DevOpsの導入が進んでいます。DevOpsとは、開発チームと運用チームが連携し、迅速かつ効率的にアプリケーションを開発・提供するための手法です。
しかし、DevOpsの導入には、いくつかの課題があります。本調査では、デッドコード(未使用のコード)とセキュリティ脆弱性が、DevOpsの生産性を低下させる要因となっていることが明らかになりました。
未使用または無効なJAVAコードは、DevOpsチームの生産性にどの程度の影響を与えていますか?
デッドコードは、アプリケーションの保守性や可読性を低下させるだけでなく、無駄なリソースを消費する原因にもなります。 また、セキュリティ脆弱性は、アプリケーションの安全性や信頼性を脅かすだけでなく、DevOpsチームの作業を中断させ、開発スピードを低下させる要因にもなります。
Log4j問題はいまだに深刻な影響
Javaのセキュリティ脆弱性として、近年大きな問題となったのが、Log4jの脆弱性です。Log4jは、Javaアプリケーションで広く利用されているログ出力ライブラリであり、この脆弱性を悪用されると、リモートから任意のコードを実行される可能性があります。
本調査では、Log4jの脆弱性について、依然として多くの企業が影響を受けていることが明らかになりました。
あなたの組織は、本番環境でLog4jのセキュリティ脆弱性を依然として経験していますか?
この結果から、Log4j問題は、Javaアプリケーションのセキュリティ対策において、引き続き重要な課題であることが分かります。
AI開発でもJava - Pythonを凌ぐ高い利用率
近年、AI(人工知能)技術の発展が目覚ましく、様々な分野でAIの活用が進んでいます。AI開発においては、Pythonが最も人気のあるプログラミング言語ですが、JavaもAI開発に利用されています。
本調査では、AI機能を構築する企業の50%が、Javaを使用していることが明らかになりました。
この結果は、AI開発において、JavaがPythonに次ぐ、あるいは同等の選択肢となっていることを示しています。Javaは、パフォーマンス、拡張性、安定性に優れており、大規模なAIシステムの開発に適していると考えられます。
主要なJava AIライブラリ
Javaには、AI開発に利用できる様々なライブラリがあります。本調査では、以下のライブラリがよく利用されていることが分かりました。
- JavaML
- Deep Java Library (DJL)
- OpenCL
- PyTorch
- Jvector
- その他(Apache Spark MLIB, TensorFlow, Apache OpenNLP等)
これらのライブラリを活用することで、Javaでも効率的にAIアプリケーションを開発することができます。
まとめ - Javaは今後もエンタープライズの主力技術
Azulの「The State of Java Survey and Report 2025」から、Javaは依然としてエンタープライズシステムにおいて重要な役割を果たしていることが分かりました。多くの企業がJavaを利用しており、クラウド、DevOps、AIといった分野でも活用が進んでいます。
一方で、Oracle Javaの価格設定に対する不満から、OpenJDKへの移行が進んでいることも明らかになりました。また、クラウド利用におけるコスト最適化や、DevOpsにおけるデッドコードやセキュリティ脆弱性といった課題も存在します。
しかし、Javaはこれらの課題に対応しながら、今後もエンタープライズシステムの主力技術として、その地位を維持していくと考えられます。Javaに関わる開発者やIT部門の意思決定者は、Javaの最新動向を常に把握し、適切に活用していくことが重要です。
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参考資料: