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DevOpsにおける "Elite" パフォーマンスは無駄になっている?

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あなたは、開発速度を上げるためにアジャイルを取り入れたのに、いつの間にか「言われた機能をただ作るだけ」になっていませんか? せっかくのスピードも、それが顧客価値につながらなければ意味がありません。

The New Stackに掲載されたスティーブ・フェントン氏の記事 「Elite Performance Is Wasted on Feature Factories」 では、まさにこの問題に警鐘を鳴らしています。フェントン氏は、DevOps において「エリート」レベルのパフォーマンスを実現することの重要性を説いています。

DevOpsにおける「エリート」レベルのパフォーマンスとは?

「エリートパフォーマー」の概念は、DevOps の現状に関するレポートである 「Accelerate State of DevOps Report」 から来ています。このレポートでは、ソフトウェアデリバリーのパフォーマンスに基づいて、組織をいくつかのクラスターに分類しています。

その中で エリートパフォーマー とは、1日に複数回のデプロイが可能 であり、変更のリードタイムが1時間以内 という、最高レベルのパフォーマンスを発揮する組織を指します。また、変更失敗率が最も低く、障害復旧時間も最速です。

「機能工場」化するアジャイル開発の問題点

しかし、フェントン氏は、多くの組織が、この「エリート」レベルのスピードを活かしきれていないと指摘します。開発速度を上げることに集中するあまり、顧客にとって本当に価値のあるものを作り出すことをおろそかにし、まるで「機能工場」のように、ただ言われたものを作るだけの存在になってしまっているというのです。

記事では、機能主導の開発の例として、フェントン氏が携わったコンテンツ管理システム(CMS)の開発プロジェクトにおける失敗談が紹介されています。

このプロジェクトでは、画像最適化のために、「画像の保存先変更」「別ドメインからの配信」「キャッシュの利用」といった、一般的に有効とされる機能を次々と実装していきました。しかし、これらの機能追加は、皮肉にもサイトの表示速度を低下させてしまったのです。

なぜこのような事態が起きたのでしょうか? それは、開発チームが「顧客にとって本当に必要なものは何か?」「どのような改善が、最も効果的に顧客体験を向上させるのか?」という視点を見失い、ただ「言われた機能を、言われた通りに作る」という作業に終始してしまったためです。

顧客価値を最大化する3つの原則

このケーススタディは、私たちに重要な教訓を与えてくれます。 それは、真の顧客価値を生み出すためには、「何を作るか」だけでなく、「なぜ作るのか」「どのように作るのか」という視点が不可欠 だということです。

開発速度の速いチームは、その力を最大限に活かすために、実験的な思考を育むべきです。 顧客は何を求めているのか、どのような解決策が最適なのかを常に検証し、仮説と検証を繰り返しながら、最適な製品へと導いていくことが重要なのです。

アジャイル開発は、そのための強力なツールになりえます。 しかし、それはあくまで「手段」です。 「顧客価値の最大化」という「目的」を見失わないよう、常に意識しておく必要があります。


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